いいことをしたからといって

朝、某銀行の両替機に並ぶ。前の人が終わったらしく、立ち去ったので機械の前に立つと、バラ硬貨返還口の蓋が開いて 500円硬貨が 1枚。取り忘れだ。振り返り、銀行を出そうになっていた前の人へ「硬貨取り忘れてますよ!」と大声で呼びかける。果たせるかな、気付いてくれた彼は引き返してきて、硬貨を渡すことができた。*1
昼頃、某信用金庫の ATM へ。2台あるうちの右側の前に立ったところ、なにかピーピー鳴っている。現金出入口が開いたままだ。見ると、中に現金が。何万円かあるようだ。一瞬の躊躇ののち、窓口に向かって「ATM に現金が残ってるんですけど」と呼ばわる。幸いにして、隣の ATM を利用していたおじいさんが、前の利用者を認識していたようだ。そのおばさんはまだ店内におり、「慌てててねぇ」といささか恐縮しながら現金を回収していった。*2
ATM は利用者の行動も表情すらも、防犯カメラによってその全てが押さえられている。もし私(おうる)がそのときどうかして血迷い、その取り忘れた現金を懐に納めていたならば、その手は必ず後ろに回るであろう。だから、私(おうる)が取るべき行動はといえば、実際に私(おうる)がしたそれか、あるいは見て見ぬふり、気付かぬふりの、どちらかしかないといえる。そう考えれば、私(おうる)が良いことをしたか否か、といえば、悪いことではないもののそうするよりないのだから取り立てて良いこととも言えない。
因果律だとか陰謀史観だとか、そういったものの考え方もいろいろあると思うが、実体験に則せば(経験論的(というか直観的)言及)実際の生活においてその「因果」の「因」と「果」がわかりやすいかたちで現れることはそう多くない。勿論、それらが近接して現れるとも限らない。ともかく今日 1日は、なにか試されているような気がして、消耗した。

*1:余談になるが、取り忘れを誘発するようなシステム構成は正直×である。今日日、監視カメラ連動システムだとか、センサー系を駆使したエラー防止システムぐらいわりと簡単に作れるだろう。

*2:余談になるが、店員(金庫員?銀行員? なんと呼べばいいのか知らないけど)はカウンタの中でただ、きょとんとしていた。咄嗟の出来事に即応できない連中。使えない。