邂逅と開口

owl2004-01-14

「モミジバフウ」(紅葉葉楓)と聞いても、「アメリカフウ」と聞いても、私(おうる)の記憶中枢はなんの反応もしなかった。
昨日の強かった風が、しまい込んだ忘れ物を知らせるが如く、私(おうる)の足許へともたらしたもの。

あれはいつだったか。まだ何年も経っていない。千葉県立 柏の葉公園。風のない晴天だったような。私(おうる)は何故かひとりでその公園を歩いていた。ペイヴメントに整然と連なる樹木のその枝先に、魅力的な形状をした果実が見えた。
あまり人様には見せたくないような努力と数分間の時間を費やした結果として、そのとげとげとした 3cm ほどの鞠玉は私(おうる)の所有するところとなった。
そういえば、潰さぬよう、刺さらぬようにと持ち帰って、そして「アメリカフウ」という名称を教えてもらったんだっけ。
公園の中に満ちあふれた、冬の陽の光だけが、それだけが妙に鮮烈な印象を残す。記憶のトンネルをくぐり抜け、端と端を繋いでいるはずの「とげとげ」は、何故だろうか、頭の中で、見えているのか、いないのか。
ずいぶん前のことのような気がする。