「自己紹介」の対義語?そんなものは無い!

何故ならば、「自己紹介」は「紹介」のなかのひとつのパターン、特殊なケースだからだ。強いて強いて強ひまくって言うならば、「自己紹介」の反対は「紹介」だ。ただの「紹介」。あるいは「普通の紹介」。とはいうものの、これも厳密には正しくない。「自己紹介」も「紹介」に包含されているからである。集合論的には「自己紹介以外の紹介」が「自己紹介」の「反対」となる。これを表す単語は存在しない。そんなものを定義するのはナンセンスだから。
(勿論、部分集合ないしサブカテゴリであるにもかかわらず対義語が「定義」されているものも存在する。「真水」の対義語は「海水」若しくは「塩水」(あるいは「鹹水」)である。オレンジジュースだって、硫酸銅水溶液だって、真水ではない。だが、「真水」の反対は人類史上「海水」と定義付けられている*1。)


「新幹線」の反対は何か。鈍行列車? 答えは「新幹線に反対など存在しない」。
「カツカレー」の反対は何か。ハンバーグカレー? 答えは「カツカレーに反対など存在しない」。
「自己紹介」も、同じこと。


ただ、だからといって、普通に円滑な社会人生活を続けたいと思っている多くの人は、「蛸紹介」とかいうような言葉を聞いても、自分がタコ呼ばわりされたことに関して憤慨/侮蔑の表情や言葉を表出させてはいけない。たぶん先方は、ウィットに富んだ日本語ユーモアのつもりで、そんな言葉など無いことを熟知した上で、場を知的な笑いで和ませるために敢えてピエロを演じているのだと思われる。そういうあたたかいひとなのだ。いろんな部位がいろんな意味で。
さからっちゃぁいけない。

*1:ただし「海水」の対義語は「淡水」であるとする場合もある。必ずしも一対一対応していないのが、自然言語・日常言語のややこしいところ。