ヲタと DQN の進化的収斂・そして越えられない壁

最近、低価格帯のヘッドフォンとしてはもっとも安定して高性能であるという評価が定着した感のある、カナル型。安くは ¥999 から、特殊機能の付いたものでなければ大抵は数千円の代物だが、中には上掲のように「ポータブルオーディオ用」を標榜していながら 1万円を超える価格を平気でつけてくる商品もある。正直、カナル型ではある程度以上値段を上げようがないのではないかという気もしなくはないのだが、まあそこはそれ、名だたる音響メーカーが素材を吟味し、設計からああだこうだとやれば、1万円ぐらいは超えるのも致し方ないことだとは思う。そして、それなりの音源に接続すれば、それなりの音を奏でてくることも想像に難くない。(そのありがたみをどこまで感じ取ることができるかという問題については、この際関知しない。)
ときに、こうしたヘッドフォンを目にすると、思い出すことがある。普段は普通に会話することなど無いはずのヲタクと DQN が普通に会話したときの、あまりの噛みあわなさ。
ある程度高度化すると、ヲタも DQN もやることは似てくる。ゲームにはまる。アイドルにはまる。メカにはまる。アニメにはまる。だから、例えばゲーム機の話だったりゲーセンの話だったり、場合によっては美少女ゲーの話だったり、ともかく、異文化圏の人間同士が同じ土俵に上がったりするわけだ。当然彼等のアプローチは全く異なっていたわけだから、同じものを西から見る人と東から見る人とで、非常に新鮮な情報交流がなされたりすることもあり、場合によっては大変有意義なようである。
ただし、彼等は根本的に違うものだ。
ある時、ゲームをする際の音の話になり、ヘッドフォンでゲームするの嫌でさ、ヘッドフォンだと音がしょぼくてかなわない、と DQN 氏。そこでヲタ氏曰く「ヘッドフォンどんなの使ってます? 最低でも 2万円はするの使わないとまともに聞こえませんよ。」 DQN 氏は「ヘッドフォンなんて 2000円以上の使ったことねえよ。」 ヲタ氏「やっぱヘッドフォンはいいやつにしないと。」
DQN 氏沈黙。
ヲタでもなく DQN でもない私(おうる)が「音源とかも関係あるんじゃないの? MP3 とかだと音がぶれるでしょ」と振ってみたが、ヲタ氏「いや、ヘッドフォンですね。そういうのも一度いいやつ使ってみればわかりますよ。」
この話題はここで終了。
同じに見えても、金の費やし方とか、どこにどう配慮するかとか、もう既に人種からして違う。それが ヲタと DQN 。彼等が共通の(、というか、よく似た)趣味の話題でしばし歓談をすることはあっても、それが友情へと進化し長続きすることは決してないのだろうな、と思い知らされた瞬間であった。
で、私(おうる)が現在使用しているヘッドフォンはといえば、前世紀、カナル型がなんとなく普及し始めた頃に某家庭電器店の閉店半額セールで購入した SONY 製。確か \2,000.- だった。私(おうる)は(もっとせこい時代のヘッドフォンを知っているから、というわけでもないのだろうが)低音が来ればかなり満足、あとは割とどうでもいい。