親としての自覚とかそういうようなことについて。

近所の野良猫の 1匹。小柄で、華奢ななりをした、一見するとまだ子猫なのかと思うぐらいの三毛なのだが、この子がまた実に多産である。私(おうる)が知る限りでは、確実に毎年、つまり少なくとも 3回、出産し子育てをしている。こうなるともう慣れたもので、道路の真ん中にでーんと寝そべって授乳をしていたり、自分は高見に陣取って子供たちを遊ばせていたりと、見た目からは想像しにくい大したおかあさんっぷりを発揮しているようだ。
しかしこの子がまた警戒心が強い。まあ、近所に猫と見るや追い立てるような人がいるらしいのでそういう影響もあるのかもしれないのだが、普段から一定の距離以上から近づこうとしない。それが子育て中となれば警戒レベルが倍率ドン!さらに倍!で上昇するのは当然の摂理であって、寄るなオーラになにかこう別のすごみが加味されてむしろおかしなことにさえなる。
今どきは朝から暑いがそれでも日中ほどではない。そんな路上でふとその母子(おやこ)に出くわした。私(おうる)の姿を目にした途端(より正確には、恐らく、私(おうる)の靴音を感知した瞬間)くつろいだ雰囲気が一変する。距離は充分すぎるほどあるのだが、その遠隔の彼方から、「あたしのこどもたちに、なにかごようかしら?」という視線が届く。子供は子供で、親のギンギンとした警戒オーラに当てられ目が皿のようだ。別に用というほどの用は無い。ただ単に、愛でたいだけなのにな。しかもそれを 15m の彼方から言われてもな。(厳密には言われてすらないのだけどな。)
責任感という名の粘土を串でつついてつついてつつきまくり、楊枝をさしてさしてさしまくってできたオブジェのようなその姿が何とも微笑ましく、そしてちょっと憎たらしい。