JR も捨てたもんじゃないと思った2006。

跨線歩道橋のうえから子供の歓声が響く。見れば、おそろいの黄色を来た小さな兄弟が金網に張り付き、うしろにはそのお父さん。ひたすら直線の遥か遠くから、京浜東北線南行が近づき、通過する。そのとき。
「ファ、ファー」と、軽い警笛音。
続いてやってきた東海道線の上りも、「ファー…」とクラクションを鳴らして通過していった。
JR 蒲田〜川崎間は多摩川を渡るまで、実に 2km 以上の見通し直線区間を有する。都内でここまで見通しの利く直線の線路は他には無いのではないかと思う。そしてこの区間のほぼ中央に位置する西六郷公園前の跨線橋。地元の人と、一部事情通には、ここの上で子供が電車を見ていると、運転手が手を振ってくれることが知られている。そんなさりげない「サービス」が、子供にとってどれほどかけがえのない体験となることだろうか、浦安鼠ーランドで着ぐるみが吹きかける完璧に消毒された水を浴びるのとどっちが心に残るのだろうか、なんてことをふと考える。
商店街では「祭り」をやっているようだった。みこしも、やぐらも無い、狭い商店街のさりげない祭り。流石にちょっと味付けが甘すぎないだろうか、というモツ煮。お釣りの計算のできない女の子。何かにつけて「ちらしずし \250」を店の前に並べるお寿司屋さんは、やっぱり今日も「ちらしずし \250」を出していた。
百日紅サルスベリ)の紅も実の緑色と交代を始め、少々物足りなさを感じさせるようになってきた。アブラゼミとミンミンゼミに混じって、時折クマゼミの鳴く声が聞こえる。そういえば今年はツクツクホウシをまだ聞いていない気もするが、こいつが優勢になってくると、夏も終わりが近い。
8月最後の土曜日の、そんな午後。