形から入るのも悪くないと思っている。の、テルミン篇

owl2006-08-21

まず、それを作ろうと思ったとき、アンテナの形が頭の中に浮かんだ。
(ちょろっと言い訳をしておくと、一旦形状を決めたあとに何度かグニャグニャといじったので、写真は理想の形とは少々懸け離れている。)



自作テルミンというと参考にするサイトは現在、たぶん以下の 2つ。

どうせなら 2アンテナ。しかし、プリント基板自作の装備もスキルもない私(おうる)にはかなりしんどそうだ。おまけに、高周波回路は経験(少)なので無理しないほうがいいかな。初心者は初心者らしく。
秋月電子は朝が遅い。オープンまでもう少しかかる*1ようなので、その間、千石電商で時間を潰す。秋月で買えるものは秋月で買ったほうが支出が抑えられる。でもってうろうろしていたら、そこで見つけてしまったのだ。わっせろーい。

テルミンのキット。Σ(゜□゜) デテタンダー!*2
これは、正直迷った。部品を自力で掻き集めれば、恐らく \2,000.- 強でいけるだろう。ただしスピーカーアンプの回路は考えていない。で、このキットはアンプ内蔵で \3,860.- 。でもってあと、ラジオセンター 2階のレンタルボックスで見かけたテルミン(完成品:アンテナがフォーク)は \5,000.- だった。見たところ八ヶ岳キットはちゃんとした説明書が付いている感じ。でも、ケースに組み込むには外付け用ボリウムやらコネクタ類やらを別途用意しなくてはならない。諸条件を咀嚼しつついろいろ悩んでみた結果…
キットに流れた。 無理はしない。 えへ。♥
とにかく組んでみた。ちょうどいい大きさのプラケースが見付からなかったので、基板上の部品はできうる限り低く取り付けないといけない。多少変なリード線の曲げ方をしたりするわけだが、それが何か悪影響をもたらすことはないだろう。パーツをとにかくくっつけて、ケースに組み込む前に最低限動作するだけの結線をして試すことに。
音は出た! …でもひよんひよんと物足りない音だ。最大音量にしても全然。LM386N のアンプって、こんなもんだったろうか。
キットの説明書には詳しいチューニング法が記されているのだが、たぶんとてもよくわかっている人が書いたのだろう、そこらへんの勘どころを得ていない私(おうる)のような人間にはいまいち理解できない。そこで、テルミン自作解説サイトでチューニングの項をみると、ボリウムを回したときの挙動が書かれている内容とどうも違う。ぐるっと回した際の周波数の変化の「谷」が、いくつもあるのだ。なんかどこか回路に不備があるのか。私(おうる)には確認のしようがない。
できるとしたら、パーツの御機嫌伺いくらいだ。で、基板に顔を近づけてみると(なんでだよとか言うな*3)、どうもアンプ回路まわりが若干熱を持っているようだ。アンプ IC がほんの少し暖まっていることはまあいいにしても(いいのか)、コンデンサが暖かいのはなんか気になる。
そこで、買い忘れていた外部コネクタ類を入手するついでに電解コンデンサも入手し換装へ。キット附属の電解はロープロファイルタイプだったが、普通サイズを寝かせて取り付けるよう変更し、これで基板上実装高さも更に抑えられた。ついでのついでに 0.1μF セラミックコンデンサも積層セラミックに換装することに。半田付け箇所も全て再チェック。あとはどうもアースが不充分なような感触があるのだけど、もしそうだとしてもとりあえずできることは無い。
因みにセラコンを積セラに換装したのには(確かにコンパクトにはなったが)あんまり深い意味がない。強いて言えば私(おうる)が積セラを好きだというのがその理由。
やるだけやったので、現物あわせでプラケースに穴を開け、ユルユルと組み込んでみる。アンテナは RCA コネクタ(ジャック)に太いアルミ針金を直接差す形式にした。ちょうどよい太さのアルミ針金が手許にあった。どうやら問題となりそうだった基板の高さはなんとかクリアできたようだ。でも、箱に収まっても鳴らないんじゃしょうがない。(ただまあ、どっちにしろ箱に入れたときと剥き出しのときではチューニングが全然違うだろうから、だったら箱の外で完璧に仕上がってもあんまり意味がない気もする。)
テルミンには 2つの発信回路があり、その片方だけにアンテナがつけてある。アンテナがある以外は全く同じ双子。で、キットの回路では双子のどちらにアンテナをつけてもよい構造になっている。気紛れに私(おうる)は両方ともにアンテナコネクタを接続し、外に出してみた。いろいろ試す過程で片方をアース端子にしてみるのもいいかもしれない、などと思いながら。で、いままでと違うほうにアンテナを差してみたところ、いままでとはまったく違う大きさの「にゅい〜ん」という音がスピーカーから出てきた。なんと!
なんか知らないが、できた。理由はよくわからないが、ともかくこれでいけそうなので、そのままいじらずに行くことにする。
 
外観はこんな感じになった。因みに電源インジケータ LED は小さな基板に乗っているが、これは私(おうる)のフルスクラッチ。最初は適当に作ったが、ちゃんと固定できるようにネジ穴などを見越して作り直した。LED も高輝度タイプ(のピンク)に。

アンテナはもうなんでもいい。それこそフォークでもいい。RCAコネクタ(プラグ)を繋げばなんでもアンテナにできる。
スピーカーのカバーは手許にあった不織布を使用。ほんとうは使い古しのストッキングの切れ端がよかったのだが、残念ながら、手許に無い。
 
内部と、基板。なんかアナログ回路ってすごいな、と思うのが、こうして蓋を開けただけで発信音が激変する。たぶん中にぐちゃぐちゃと引き回しているコードが関係しているのだろう。小学生ぐらいの頃に読んで到底理解することができなかった自作トランシーバかなんかの本に書いてあったような気がするのだが、高周波回路では余計なコード引き回しはタブーだったような…。とすれば私の目の前にあるこれは邪道中の邪道だ。でも、一応それらしき音が出るから、とりあえずよしとする。
トランジスタは 4石、全て 2SC218 。私(おうる)は回路のことは全然わからないのだが、使用パーツに幅を持たせているなどの雰囲気からしてとても回路設計のことをよくわかったひとがこのキットを組んでいるのだろう、という気がする。どういう集団なのだろうか、八ヶ岳クラブ…。
電源は、説明書に「006P はダメ。ゼッタイ。」と書いてあった(※超訳)ので 単3 × 6本にした。でも、006P でもアルカリならかなり大丈夫っぽい。とにかくコンパクトに組みたいという向きは試してみる価値があると思う。
しかしあれだ、音はお世辞にも風雅なものとは言えない。バーチャルテルミン on web と比較してみても、これは「別のもの」だ。私(おうる)が下手すぎるだけではない。(や、つーか実際下手すぎなんですけど!)
安いバイクのエンジン音ならこいつで再現できるか。AC アダプタを繋ぐと変なノイズが入るし。外部スピーカを繋ぐとプラグを差すだけでチューニングが変わるし(やっぱりアースをもう少し何とかしたほうがいいのかもしれない)。まあ若干音がまろやかになるが、それも飽くまで若干だ。「音楽」を演奏するならば、エフェクトなりエコーなりかまさないと厳しかろう。というかそもそも、置く場所、持つ位置、その他諸々がちょっと変わるだけで再チューニングが必要なこんな機械で、音程を奏でることなんてできるのか。(といいつつ、ついなんとなくスイッチを入れてはぐいんぐいんみゅおんみゅおん言わせて御機嫌を伺ってみていたりしている。アナログ装置っておもしろいな。)
こうして日本の Thereminner (テルミン所有者)が 1人増加。しかしコトホドサヨウニ、 Thereminist (テルミン奏者)への道のりは遥か遠く。

■ 正直なところを言えば。

もう少し簡単、…というか、普通に真面目に組めば普通に鳴るもんだと思っていたのだが、そうでもなかった。だもんで、あわよくば半量産でも、とかいう目論見は、かなり厳しいようだという結論に達した。
それでももし再挑戦するということになったなら、次回はアースのことも考えつつ、できるだけ基板上に全てのものを乗っける方向で製作してみたい。その際のアンテナ形状は、もういくつか考えてある。

■ 因みに・念の為

テルミンOFF の人と私(おうる)は無関係です。

■ もひとつ追記:こんなのもあった

AM ラジオ(スーパーへテロダイン方式)を 3台用意すればテルミンができるそうだ。百均で調達すれば \315 の「スーパーテルミン」が完成。

これいいかもね。頭のいい人もいるもんだ。

■ さらに追記

速報的に。
当研究所における記述はこちら(など)。

*1:御存知のかたには耳タコだと思うが秋月は 月・木定休である。従って、この記述は日付どおりの出来事を記したものではない。

*2:因みにキットの製造元である「八ヶ岳クラブ」については WebSite も見当たらないので詳しいことがわからないのだが、どちらかというとマニア受けするような高難度キットをいろいろとリリースしている集団らしい。大阪日本橋の有名なパーツショップ「シリコンハウス」さんのブログにキットの紹介記事があったのでリンクしてみる。
http://blog.livedoor.jp/siliconhouse/archives/50411186.html

*3:敢えて釈明すれば、常温附近の遠赤外線に敏感なのは頬の一部と、あと唇だからだ。