【危険なので安易に真似しないでください】家庭で(わりと)手軽にハイドレート実験(の可能性)?

owl2006-07-23

【酸欠、凍傷、火災、爆発、中毒などの危険があるので安易に実施しないこと。】
通常、低温・高圧条件がその生成条件であるガスハイドレートだが、実際どのくらいの低温・高圧が必要かというと、メタンハイドレートの場合で言えば 0℃で 26気圧ぐらいらしい。このへんこのへんに置いてあるグラフによると、-30℃くらいだと 10気圧ぐらいのようだ。
冷媒としてドライアイスが充分に入手できたらば -30℃はなんとかいけるとしても、10気圧(1MPa)は「御家庭でお気軽に御用意」できる環境ではないような気がする。
当然だがカゴの中の分子が違えば P-T 条件は異なる。二酸化炭素ハイドレートの場合は、メタンよりも低圧側で生成されるらしい。ということは、より沸点の高いフロンの場合なら、…どうか。ひょっとしたら 2〜3気圧、-25℃程度でもいけるのではないか?
ということで実験*1。炭酸飲料用の空のペットボトル(1.5L)を 1本用意する。この中に水を少々(10mL程度)入れ、エアダスター(HFC152a)を逆さまにして 5秒程度ペットボトル内に噴射する。この際、使用するエアダスターは必ず「逆さまにして使用しないでください。(液体が噴出して危険です)」と注意書きがされているものを使用する。「さかさまにしても使用 OK !」なタイプは、(普段はとても便利だけれども)今回の実験には不適。「逆さにしては危険」なほうを敢えて逆さにして、気化前の生ガスを取り出すのである。当然、凍傷注意。凍傷の危険が増すので軍手使用不可。皮手袋を用意するか若しくは素手
噴射終了後すかさずペットボトルの蓋を閉じ、軽く振る。この際、ペットボトルの圧力には常に注意し(実験終了後もである)、あまり内圧が高くなりすぎるようであったら(危険なので)キャップをしっかり握りつつ慎重に緩めて(突然緩めるとキャップが勢いよく飛ぶ危険がある)圧力を逃がしてやる。

10秒もすればペットボトルの中身はシャーベット状若しくは小塊状の固体になっているはずである。取り出すと(開封時キャップ注意(下手をすると高速で飛ぶ))、プチプチと音をたててその「氷のような物質」は融け始める。勿論、ペットボトルの中に入れたままでも、開封すると同時に融け始める。これはただの氷ではない。勿論他のことも考えられるが、ハイドレートができている可能性は非常に高いと言えよう。
万博なんかでやっていたという「燃える氷」の実験*2は残念ながらできないようだ。(HFC152a は可燃性だが、メタンのようにばんばん燃えてくれはしないらしい。*3)でも、ハイドレートってこんなもん、というのを目の前で実感する為の教卓実験には使えるのではないだろうか。
産総研の中の人とかだとこういうの見てどう思うんだろう。

■ 心からの御注意

しつこいようだが、上記は窒息・引火・火災・爆発・凍傷・中毒など様々な危険があるので、安易に実施しないように。エアダスターの缶を逆さまにして噴射し液体を噴出させるのはメーカーも禁止している使用法であるので、こうした行為によって何らかの傷害や損害が生じた場合、あらゆる補償が受けられなくなる。当然、当研究所(跡)は記述内容に関して一切の保証をしないし、関知もしない。実施する際は飽くまで自己責任で、というのは再三申し上げているとおり。
火気厳禁、換気励行、周囲に Wii 本体が無いか確認、凍傷注意。…もし、それでもやってみるというなら。

*1:実際の動機は全く逆(のフロー)だったけど。あはは。

*2:このへんで見られる → http://ssklabo.mast.gifu-u.ac.jp/HYDRATE.HTM

*3:というか、比重なんかも関係しているのかもしれない。HFC152a の気体比重は 25℃で 2.3(空気 = 1)だそうだ。
ついでに、あんまり燃やしてみようとかしないほうがいいのには、弗化水素とか発生しないとは限らないからという理由もあるので。(実際私(おうる)もちょっと吸ってしまった)←やったのかよ