洋梨ヨーグルト

なぐる詩人の会」開設以来、私(おうる)が最も多用している気がする、フルーツ缶詰とヨーグルトの組み合わせ。ヨーグルトの場合、必ずしもフレッシュフルーツをそのまま使用する方がいいとは限らないようで(勿論果物の種類によるが)、それはあたかも「ごはんには生野菜そのままより漬け物にしたほうが合う」という事実に類似するかの如く。…などと適当に書いてはみたが、私(おうる)がほとんど缶詰しか使わないのは、食計画が立てられないほど貧弱な私生活にある。
で、今回は「洋梨」。日本の梨よりも柔らかいがサクサクとした食感も併せ持つ洋梨は、ヨーグルトとの相性もよい。しかし、洋梨が僅かながら持つかすかなえぐみのような独特の味は、ヨーグルトとは合わないように思う。缶詰の場合はこれをシロップが仲立ちしてくれるようだ。今回は写真梨。…じゃなくて、無し。



ここからは少々陰鬱なお話。
「ようなし」なんて罪深い名前を、この果物に付けてしまったのは一体誰なのだろうか。
大学の頃、親とうまくいっていなかった。…というより、私(おうる)が一方的に親を嫌っていた。そんなときに迎えた私(おうる)の誕生日のこと。相変わらず親と口を利かない私(おうる)。母親は、近所の洋菓子名店「チェリーボンボン」でケーキを買ってきて、私を除いたメンバーで食べていた。そのケーキが「ようなしのけーき」だということは、私の耳にも届いた。
本人を除いた誕生祝い。そして、その祝うべきケーキが「用無しのケーキ」。勿論、当てつけたわけでもなんでもないことぐらい、わかる。でも、当時の私(おうる)のひねくれた心は、そんな母親の無神経さにどうにも我慢がならなかった。
洋梨の名産地である山形においても、「ラ・フランス」という品種名を多用し、あまり「洋梨」という語を使いたがらないように見える。あるいは「西洋梨」と呼んだりするようだ。きっと、気になる人は気になっている。私(おうる)だけの思い過ごしではない。
あれ以来何年経つか知らないが(考えたくもないが)、母親と交わした言葉は、100語に満たない。恐らく、今後死ぬまでのあいだに交わす言葉も 100語に満たない。

そういえば、チェリーボンボンのケーキも、その後食べることのないうちに事実上撤退してしまったのだっけ。(関連記事:id:owl:20030312)