塞がらない傷はない

owl2003-06-20

ここのところ彫金(銀細工)などやっているものだから、手傷が絶えない。
爪は減らさないよう努力しているが(→6月4日など参照)、指先の皮はボロボロになるし、そこに研磨剤がしこたま入り込み、真っ黒になる。ハンマーを使えばすぐに指を叩く。ほんとうは指を叩いて血豆を作ってしまうことよりも、指を叩いてしまう恐怖から無意識のうちにハンマーが逃げてしまうことのほうが(彫金をする人間としては)、恐い。(因みに「上達する」というのは、「自分の指を叩かなくなる」ことではない。「自分の指を叩く頻度が下がる」ということである。)
そして火傷。研磨をかけると銀は恐ろしいほど加熱される。シルバーの磨き出しは、熱さとの戦いといっても過言ではない(…やっぱり過言だったかもしれない)
バーナー(ガストーチ)での火傷はさらにひどい。いくら念入りに銀を研磨したからといって、その温度はせいぜい 100度を超える程度である。いっぽう、バーナーの温度は数百度、炎自体は優に 1000度を超える。バーナーの口に手が触れてしまうと、その直後からどんな適切な処置をしても、立派な火傷になってしまう。温度が高いので、最悪、蛋白質がこげる。
ただ、骨や筋をやってしまったりしない限り、手傷は必ず治る、という。(その言葉がほんとうかどうか、自らの身をもって試したいとは思わないが。)
火傷のあとのかさぶた状の部分をずるっとむいてしまってから 3日。なかなか傷が乾かず、バンドエイドも利かない場所だったので、瞬間接着剤で固めて、はがれてきたら接着剤を足して、あとはひたすら放置した。今宵、接着剤の「蓋」をはがしてみたところ、傷口はまったく乾いていなかったのだが、アルコール消毒をしてほったらかしていたら、不思議。2時間ほどできれいに乾いて、塞がった。
あとは残るかもしれない。でも、慌てなければ、傷は塞がる。塞がらない傷なんてない。



ほんとうは、まだ磨けていなかった。写真(カメラアングル)で誤魔化してみた。因みに傷の写真は撮らない。ここはそういうところではない。