かくも思い込みとは。

owl2003-05-19

幼稚園のときはほぼ「平均身長」だった。クラスでは、身長順で並ぶと前から 6番目だった。小学校入学当初は 7番目。2年生になったら前から 2番目になり、 3年生でも 2番目。
小学 4年以降は覚えていない。覚える必要がなかったからだ。 …というか覚えるまでもなく、私(おうる)はクラスでいちばん小さかった。私(おうる)はチビで、足が短い。中学のときに巡ってきた初交際のそのお相手は、私(おうる)より少なくとも 8cm は身長が高かった。いちばん身長が伸びたのは中学 2年生の 1年間で、11cm 。しかし「彼女」は、もっと大きくなっていた。やっぱり私(おうる)はチビで、足が短い。しかも歯並びが悪く下品な口元、鼻の穴が大きい。厚ぼったい一重まぶた。
こうしている間に、いつの間にか「世の中に自分より身長の低い人などいない」という強力な錯覚に陥っていたようだ。
気付きだしたのは、大学に入った頃だったろうか。どうやら世の中には、私(おうる)より身長の低い人などいくらでもいるのかもしれない…と。そんなこと、見ればすぐわかるだろう、と思われるかもしれない。しかし、強力な自己暗示の元、自分と同じくらいの身長の人が、自分より確実に高身長に思えていたのだ。大体、目線の高さ(靴を履いて155cm くらい)で、私(おうる)と同じくらいに見えていた。どうやらこればちょっとチューニングがずれているのか…? と、ゆっくり気付き始めたのだった。そう、気付けば、目線が常に斜め下向きだったかもしれない。
そしてふとした機会で目にした、日本人(成人)の平均身長。1990年代あたりの数字では、男子:170cm 、女子:158cm くらいだったと思う。いつの間にか、私(おうる)の身長は、男子の平均には及ばないものの女子の平均は超えていたのだった。ほんとうに、いつの間にか。 よくよく見れば、肩の高さが全然違う。
同じように、歯並びはいつの間にか自力で修正がかかっていたようで、すさまじい「はすっぱ」では無くなっていた。鼻炎のため四六時中鼻をこすっていた幼い頃と違い、鼻の穴も言うほど目立たなくなっていた。目は、奥二重だった。でも、自分の外見には価値がない、という思いは、拭い去ることはできなかった。価値のないものにお金をかけるなどできない。だから私は、今でも髪や服や、外見に投資することができない。
おかげで、今や希少価値とも言える無垢の髪の毛は守られた。また、「手を加えれば、きっともう少しマシになる」と信じて生きてゆくことができる。まだなにも試していないから、言うだけならなんとでも言える。



「思い込みとは、目の前の事実もねじ曲げてしまうものだ」という話を、身長を例に引きつつ展開したはずだったのだが、いつの間にか本筋からかなり逸れてしまったようだ。