開花

初夏になると漂う香り。スダジイの開花って、こんなに早かったっけ。
「香り」と書いてはみたものの、私はこの「におい」が大層苦手だ。比喩などではなく本気で吐きそうになった。高校時代、この花の時期には、通学路を変えていたものだ。
2週間程度は持続するだろうか。もっとかも。こういう時間(期間)というのは、徒らに長く感じる。
どんな「におい」か、というと、スダジイ、つまり「椎の木」だから、ドングリの木だ。栗の仲間。これ以上は書かなくてもわかってもらえるだろうか。私自身は、栗の花のそれはまったく平気なのだが、似てはいても本質的に違うスダジイの花のそれは猛烈に苦手だ。
「…だ。」ではなく「…だった。」としたほうがいいのかもしれない。
今日、嗅いだその「におい」は、かすかに甘くすらあり、案外平気であった。…いや、我慢の類いは必要としなかった。私(おうる)の嗅覚は既に衰えてきている、ということなのか、それとも、香りの嗜好が変わってきているだけなのか。よくわからないが、苦手なにおいが減るのは、悪いことではない。