招かれざる客

あやとり「蚊」

暖かくなるのはいいことだ。生命感あふれる季節は、1年という短い生命周期(ライフサイクル)を超越した存在である人間にとっても、実に生き生きと過ごせる時期である。
とはいえ、それは人間にとってだけの話ではない。ツバメのように、歓迎さるべき来客とともに、どう地平を転回しても歓迎できない客が今年もやってきた。
蚊。
5月の声を聞いた頃から、その姿をしっかり確認。現在頻繁に見られるのは夏の夜の主役であるヤブカ・シマカの類いでなく「チカイエカ」という耐寒性の比較的強い種で、実際はもっと以前から発生はしているはずだが、暖かさ故、活発に活動するようになったということだろう。そのパワーたるやすさまじく、建物の 4階まで余裕であがってくる。あの小さな体のどこにそんな情熱があるのだろうか。少しも嬉しくない情熱。
よく聞く話では「蚊はエレベータに乗って、マンションの上層階へも到達する」という。これはどうやらかなりほんとうらしい。しかし、私の住処にはエレベータがない。そして、開け放っていた窓の外は切り通しになっているので、蚊としては一気に 10m 以上を飛翔により上昇しなければならないはずだ。気流に乗るのだろうか。いずれにせよちょっとした驚異だ。
ま、理由の程はともかく、私(おうる)の血を狙っている蚊が近くにいて、安寧を妨げているのは事実である。そこで頼るのは化学の力。効果は、覿面であった。

今年も、そんな季節になった。