そのカツカレーは(随筆風に)

いつ行っても演歌が流れる駅前のその店へ。「カレー屋」とはどこにも書いてないのだが、メニューにはカレーしかないから多分カレー屋なのだろう。そして多分おすすめメニューは、この 2つ。

  • 南蛮カレー \380
  • カツカレー \630

南蛮カレーがいわゆるふつうの「並カレー」で、結構サービス価格的な価格設定なのはわかる。けど、このカツカレーのと価格差は一体なんなのか。下手すると倍近いではないか。
その差の意味は、食べてみるとわかる。…いや、食べるまでもない。他の人が注文したのを見るだけでもよい。下手すると倍近いのだ。量が。
さらにこの店では、カツカレーにおけるカツはカレーの単なるおまけではないらしい。カツカレーは頻繁に出るのだろう、カツは次々と揚げられている。店内にラードが香る。注文が来ると、カツは包丁で小気味よくサクサクサクッと切られ、大量のごはんと大量のカレールーのあいだに収まる。そして横に添えられるこれまた大量の千切りキャベツ。…そう、ここのカツカレーにおけるカツはカレーの単なるおまけではない。
カレーの味は取り立てて褒めるべき要素のないごく普通のカレーであって、早い話がここのカレー、おすすめというようなものでは決してない。それでも、ウェイトコントロールとかどうでもよくなった夜、ふと寄ってみたくなる。夜10時過ぎに山盛りのカレーを食べる奴なんて大概において碌でもない。そんな「碌でもなさ」みたいなものを、カレーとともに味わう。それはそれで悪くない。
でもやっぱりその店はいつ行っても、演歌が流れている。ある日、今日は BGM 無しか、と思っていたら、程なく流れ出した曲はやっぱり演歌だった。

後日追記

2005年1月か 2月頃、ひっそりと値上げしていた。メニュー一律 +\50.- 。流石に高い。安いだけがメリットだった変哲のないカレーに \430.- 、量が多いだけのカツカレーに \680.- は出せない。おまけにこの間行ったら(それでも行くのかよ、ってな話なわけだが)「もう終わりました」とかいわれて追い出された。まだ 22:00 前だったのに。それ以来、もう 2度と行くまいと決めた。