夜の散歩は目を閉じて

owl2004-01-23

「万人にはお勧めできない」ようなことを掘り下げては喜んでいる当研究所でも、本日の話はとりわけおすすめできないかもしれない。なにしろ、目を閉じて歩いては危ない。
だからといって、完全に安全なところで目を閉じて歩いてもなんの面白味もないし、何も感じ取ることができない。普通に歩くべきところを見ないで歩くからこそ、さまざまな情報が、目以外の場所から入ってくるのである。勿論、全く目を閉じたまま延々歩くことなど普通できるものではない。だから、ときどきは目を開けて、最低限の情報を確認する。ちょうど、まばたきの逆をやる感じ。慣れれば「まばたき」の頻度を減らせばいいのだし、ほんとうに危ないところではパチパチとやればいい。
試しに、ほんの 10歩まででいいから目を閉じて歩いてみるとよい。最初の最初はそのほんの数歩がどれほど恐ろしく感じられるか。人間がどれほど視覚情報に頼って体を動かしているか。それと同時に、10歩程度までならば意外なほど普通に歩けることや、目を閉じてもまぶたを透かしてかなりの量の情報が入ってくることなどにも気付くはずである。
たまに目を閉じて歩いている私(おうる)の場合は 20歩前後まで閉じたまま(普通の速度で)歩くことができるが、それ以上は難しい。左右の脚のパワーが異なるので目を閉じてしまうとまっすぐ歩けない。また、視力のよい時期が長かったため、普段の生活はかなり視覚情報寄りの生活をしている。しかし、そんな私(おうる)でも延々と歩き続けられるケースがある。それは、誰かが数歩前を歩いている場合。特に段差や危険な障害物などがなければ、ほとんど問題もなく歩ける。
目を閉じると、靴の裏から伝わってくる地面の情報に対して敏感になることができる。自分の横にあるのが生け垣なのか、石壁なのか、何もないのかがわかるのは頬や手の甲が受ける赤外線の微妙な変化がわかるから。勿論、聴覚情報は非常に重要であり、感度のよいときには自分の靴音の反響具合で、壁からどの程度離れているかといったこともわかることがある。だから、靴はスニーカーよりも革靴で、コツコツと音をさせて歩く方がおもしろい。
とは言ってみたものの、やはりさまざまな観点からして、目を閉じて歩くことはお奨めできない。その散歩道がたとえまっくらだったとしても、夜なればこその「みどころ」はたくさんあるわけで、折角の機会を敢えて遮断するのは勿体ない。(ありえないことだがもしほんとうに「真っ暗」ならば目をつぶる必要もない。)余程歩き慣れた道で、車などの危険もなく、見咎める人もいないような状況でなければやめておいたほうがよい。お奨めしないから、怪我や事故、恥やいさかいなどのトラブルについても私(おうる)および熾火研究所では一切関知しない。