飛蚊症

owl2003-10-28

その音の響きがちょっと魅力的な「ひぶんしょう」。id:tirukuru:20031024#1066988592 さんや id:triplet:20031027#p1 さんにインスパイアされ(既にコメントはさせていただいたのだが)書いておこうかと思った。
飛蚊症は、幻覚とは違う。眼球についている傷や濁りなどが網膜に結像するものがその代表で、色は透明だったり黒だったり、もやもやとした白だったりする。小さな蟲の様に見える、とりわけ、視界にちらつく蚊のように見えることから「飛蚊症」と称されるが、形状によっては「点」とか「ホコリ」、「ミジンコ」「雲」などと表現されることも。先天性のものも後天的なものもあり、発症やその見え具合には個人差がある。
一生気付かずにいる人も、いる。「気がつかないことにしている」人も結構いるらしい。私(おうる)が最初に気付いたのは 4〜5歳頃だったような。幼稚園に通っていた頃には気付いていたはず。私(おうる)の場合、何種類かの「蚊」が目のなかにおり、条件によってはその全てが見える。
普段は(普通は)見えない。(普段からそういうものがいちいち見えていては支障をきたすので、脳が意識下に落とす。)青空とか、歯科医のライトとか、単調で明るい背景を呆と眺めていると見えることが多い。目で追おうとすると「つつー」と逃げたりして、なかなか思うにまかせない。気になりだすと結構気になったりもするのだが、気にしなければどうということもないし、急に増加したりというようなことでなければ眼病との関連を疑う必要もないらしい。小さい頃は見ていて退屈しなかった。
しかし、飛蚊症が思わぬ支障をきたすことだってある。それは例えば、猛禽類の調査。広い空のなか、最早 点にしか見えないワシタカ類を、双眼鏡、フィールドスコープ、ときには裸眼でどこまで追い続けることができるかが調査精度に大きく影響する。また、S/N の限界ぎりぎりでいちはやく種の識別をできなければ(できれば個体識別も)、調査全体の足を引っ張る。なにもない快晴の空は「飛蚊」の見えやすい条件。視界にちらつくそれは集中力を著しく削ぐ。私(おうる)が、仕事として猛禽調査を続ける事に限界を感じたのに、この「飛蚊症」の存在もしっかり一枚噛んでいる。勿論、克服する意欲ひとつで何とでもなるレベルの話である。猛禽、ひいては鳥を「見る資質」みたいなものがあるとすれば、総合的に判断して、それは大した障害にならない。
でも、私(おうる)は、ドロップアウトの道を選んだ。逃げたのかもしれない。そうこうしているうちに私(おうる)の「鳥見能力」はぐんぐん降下し、今やそこら辺のおばさんにも劣る(かもしれない)。それはそれで哀しいことではある。