コウモリの取捨選択

哺乳類でほぼ唯一、制空権を得た、翼手目、コウモリの仲間。凡地球的に見ればかなり大型の種もいるわけだが、一般に想像されるコウモリは小型種のものである。東京で一番馴染みの深いコウモリというと、アブラコウモリ。これも小型種である。飛翔という限りなき自由を手にするために、彼等が失ったものは決して小さくない。そのひとつが、エネルギーの自由である。
飛ぶためには、体重を落とさなくてはならない。体重を落とすということは、体内に蓄積できるスタミナ、エネルギー量が制約されるということである。また、体を小さくするということは、翼面積や翼の強度、効率などからすると非常に有利な点が生じてくるのだが、ベルグマンの法則で明らかなとおり、寒さには圧倒的に弱くなる。
コウモリの越冬は命がけである。…もっとも、大概の野生生物にとって越冬は命がけのものとなるわけだが、コウモリの場合、冬眠中に起こされると無駄なエネルギー消費が発生し、限られた蓄えを使い果たして死んでしまうことがあるそうだ。コウモリはそんなリスクを抱えて、「飛んで」いる。
…とまあだからなに、ということでもなくて、なんとなくイソップだったかなんだったかのコウモリの話が頭に浮かび、そこから適当に思索を巡らせていたらこんな文章になった。要するに、コウモリだって、ラクじゃあない。昔、熱中症でダウンしていたアブラコウモリを助けたことのある私(おうる)がいうんだから、たぶん間違いない。