生き証人

そういえば平成も 20年になったのだな、なんてことをただなんとなく思っていたばかりだったのだが、昭和ひと桁生まれのかたにとっては、「20」という数字によって、同じ「20年」である昭和20年の、あの戦争当時、暗黒の時代の思い出が、強く想起されるのだそうだ。
正直、欠片ほども気付かなかった。
そして、時代は、戦争中という点を除けばそれ以外は当時と全く同じように動いている、とも言っていた。(その史観が内容的にどうか、という点はともかくとして)そういう捉え方も、私の中には全く無い新機軸だった。
惣菜のがんもどきを噛みながら、かつてスパイ「ゾルゲ」の取り調べを行った人物期待の部下であったその人の言葉を反芻してみる。それは私にとってそして歴史にとってどういう意味合いを持つのかは(まだ)判らないが、煮汁のたっぷり染みたがんもどきのように、その言葉は私のどこかによく染み込んでいった。