日本語のおおらかさにむしろ軽い感動すら覚えた。

コーチングクリップ」という部品(電材)があるのだが、
 こんなの。
これが何なのかというと、ごくおおまかに言うと「ねじりっこ」の親玉。PC そのほかの筐体内部にケーブルを這わせる際に、これでクリッと固定して邪魔にならないようにしよう、というパーツである。サイズや型式はいろいろあって、写真のものはネジで固定するタイプのものだが、基板にハンダで固定して使用するものや粘着式のものもある。
材質は軟鉄で、ケーブルなどを傷つけないようビニールの被覆がかかっている。
さてこのパーツ、「コーチング」とはいったいなんぞや。「コーチ」+ ing だとするともとの単語は「coach」以外にはありえない。というか、およそ考えつかない。コーチというと指導者、ここから矯正とか固定とかそういうニュアンスが生じているのだろうか、あるいはその逆か…しかし、英和辞書を見る限りにおいてはどうも違うようだ。説明文の文面からそんなような「匂い」が、感じられない。「こいつがなんなのか」を知るに当たって、名前のほんとうの意味を知ることはより本質に近づくことになるであろう。(たかが電材いっこに何を大袈裟な。)
もう少し調べてみると、このパーツを製造しているメーカーのサイトが見つかった。

ここは英語のページも用意されている。英語版のほうは商品紹介も PDF でなく HTML で展開されているようだ。…で、見てみると

…ん?
Coating Clip」と書かれていますが…
何のことはない。「コーティングクリップ」だった。ビニールでコーティングしたクリップ。力の限り、そのまんま。
でもってもう少し手繰ってみると、メーカーによっては「コーティングクリップ」と表記しているところもみられる。

ま、ちょっとした頭の体操にはなった。

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