いろいろと知っておきたいことはある。(道具については、自分の手で。)

owl2006-10-24

よいドライバーというのは、例えば曲がらないとか折れないとか、先端が摩耗しないとか、ネジへの食いつきがいいとか、柄が握りやすく滑らないとか、柄が破損しないとか、あとはその形状が用途に合致しているかとか、まあいろいろあるわけだが、それでは実際に何回かちょろっと使ってみて、1本数千円するブランドものの高価なドライバーが百均で売っている \105.- のドライバーの数十倍か良く感じるかと言えば、そうでもない*1。高級品のありがたみを感じる場面は道具の所為でしくじったときとか、そのリカバリとか、ともかく長い使用履歴の中のほんの一瞬だ*2。私(おうる)が実際に使ってみて思ったのは、如何にグリップがよかろうとも、重たいものは使いづらいということだ。勿論純粋に好みの問題ということもできるかもしれないが、私(おうる)の場合は手が大きくなく、むくむくであり、握力はそこそこ充分にあり、指を多少いためてもあんまり気にならない、楽にネジを回すというよりは早回しができた方がよい、というような条件からして、柄が太いことや滑らないことは決してメリットにならない。極端な例かもしれないが、そういうニーズもある。


「あんなものは工具ではない」と揶揄され続けてきた百均の工具類だが、最近ではしっかり工具鋼を使用したもの(とはいえ飽くまで表示を信じるならば、ではあるが)も出てきており、外観もそれらしく仕上げてきているようだ。画像は、百均(ダイソー)の商品でありながら \157.-(税込)という価格が付いていた奇特な貫通ドライバー。同じ棚に \105.- の別の貫通ドライバーがあるにもかかわらず、この商品が追加されていた。比較的名の通ったメーカーでも同規格・サイズの普及型(非貫通)ならばどうかすると \100 ちょいで販売されていることがあるから、\150 だとそれよりも高いということである。\100 にする努力でもなく、\200 に切り上げるでもなく、\150 という価格で出したこの理由はどこにあるのか。その不思議さに、逆に惹かれるものがある。(…まさか、そういう罠なのか?)
No.2 で 100mm という標準的なサイズ。全長は 200mm 。この価格で勿論ボルスターなどという気取ったものは付いていないのだが、柄が四角(6mmφ)なのでスパナなどを噛ませることができるのだ、という。
貫通ドライバーといえば叩かれてナンボということで、心おきなく叩けるという意味では安いことには大いに意味がある。しかし、貫通ドライバーを叩いて使う場面というのは大概において、(もうこれ以上の)失敗が許されないような場面だ。信頼できないものは使えない。ただ、貫通ドライバだからといってとりたてて特殊な先端であるというようなことは無いから、鉄芯が通っているぶんだけ重心がうしろ寄りにあるドライバーとして普段使いするという考え方もあるといえばある。
…てなことを考えながら、何本かのネジを締めてみた。…これが意外にも悪くはないのだ。勿論、高級ドライバーのあの先端にネジが吸い付くような、安心感に溢れるフィーリングは無い。しかし、こちらのドライバーでも、注意して使用すれば溝を舐めることもないし、磁化したときの保磁力も充分*3なので、月並みな食いつきでもそれなりいい取り回しができる。叩いた際にほんとうに工具綱らしいパフォーマンスを見せてくれるのか、など、言い出したらキリがないわけだが、とりあえずもう \157.- ぶんぐらいの元は取った気になった。
【後日追記】このドライバーは TONE トネ:前田金属工業(株)の製品(KPD-002)の丸パクリだということがわかった。(参考:http://item.rakuten.co.jp/monju/to-kmd-002/
あと、叩くと柄がずれる(抜ける)。
相変わらずやることがサイテーだ。> Daiso
性能以外の面でもうひとつ大きな問題を指摘しておくと、百均の商品には販売の継続性が保証されていないという落とし穴があるということを忘れてはならない。どんなに素晴らしかろうと入手できないのでは意味がない。同じものがまた欲しい、となったときに百均は応えてくれない可能性が高い。メーカー品・ブランド品(PB を含む)というのは、そのへんも充分に担保しているのである。これは、場合によってはとても重要なことである。
「百均も、使い方次第。」昔からいわれてきたことだが、百均が進化してきた今も、このこと自体は相変わらずといったところか。
ともかく、もうしばらく使い較べてみよう。今日はもう(眠くて)何を書いているのか判らなくなったので、寝る。

■ 補足的追記

百均の問題としてもうひとつ指摘しておかねばならない事項があったのだが、それは環境対応という側面。上掲のドライバーも、いまどき、という言い方もあれだが、PVC を使用している。私(おうる)はそれがどうだということを特に気にする立場にないのでいいのだが、場合によっては(例えば社内規定などによって)使用できないというケースがあるのかもしれないと想像する。良くも悪くも、そういう時代である。

*1:ただし、数倍の良さを数倍長く感じることはできるはずである。

*2:というか、道具の「良さ」というのはそんなにしみじみと感じるものではない。使用に際して不具合や不快感が無い(少ない)、いざというときに必要な性能をきっちり発揮してくれる、つまり何事も起こらない、ということはほんとうはとても重要なことである。

*3:貫通なので磁性体の体積がそのぶん大きいということも関係しているのかもしれない。