それを知る能力

この世のものでない妖怪やらあやかしやらを扱った物語では通常、あやかしを見抜いたりだとか駆逐したりだとかできる特殊能力者が登場する。そして通常、そういう能力者は混血だとか、そもそも人外であるとか、要するに自らがあやかし的要素を持つ存在であるとされているものである。
つまり「異なる者」を見抜いたり、理解したり、排除したりする能力は、同じ種類の「異なる要素」を持った者にしか生じない、ということだ。
不良を救う先生が得てして元不良であるとか、そんなような。あるいは以前「天才は天才にしか理解できないのではないか」というような仮説を書いたが*1、異なるベクトルであっても異能は異能によってのみ解されるという本質には違いがない、ということとか、そんなような。ウィルスに対するワクチンのようなものとか、そんなような。
閑話休題、私(おうる)は、人の目つきだとか、喋り声だとか、歩き方だとか、その他身体的表出から「違和感」を極めて早く感じ取る。それは大抵かなり正確で、且つ、頭が判断するより早く脳が判断している、という感覚。そしてその実体は、大抵何らかの脳の障害から来る症状だ。…ということはつまり、私(おうる)の…いや、皆までは言うまい。まあ要するにそういうことなのだろう。そうだろうとは薄々は感じていた、昔から。