おなかすいたよー。

空腹感の仕組みというのは単一ではなくて、ひとつは血糖値の低下、もうひとつは胃からの情報。ほかにも視覚・嗅覚情報などの外部刺激や記憶をもとに脳内が送り出す欲求など。脳は野生生物であった頃の遙かな記憶を元に、あの手この手で人間に栄養を摂取させようとするわけである。
しかし、胃が送出する情報というのは、飽くまで消化器官の感覚であるから、肉体が必要な栄養を要求しているのとは微妙に違う。血糖値の高低にしても、部分的には脳が制御している。においを嗅いだときに起こる空腹感なんか、もうこれは脳が勝手に作り出した幻影以外の何者でもない。コトホドサヨウニ、空腹というのは実体のない感覚である。
騙されては、いけないのだ。
騙されては。
…ああ、大台から落とすなんて夢のまた夢だな。