金曜日

朝、コンビニの手前で通りの反対側にいた浮浪者っぽい風体のひとに「今日は何曜日ですか?」と呼びかけられたので「今日は金曜日です」と思いっきり真面目に答えてしまった。逆に意表をつかれたらしい浮浪者氏は小声で「はぁ」とか言っていた。
なぜ無視せずに答えてしまったかというと、「一昨日の晩御飯は何を食べましたか?」といったような所謂「脳活性」のありがちな課題のひとつとして「今日は何曜日ですか?」も位置づけられているからである。頭脳遊戯の挑戦はいつなんどきでも受けるに吝かでない。ま、要するに釣られたには違いがないのだが。

閑話休題、今日は何曜日ですか、といえば。

昔、どこかで読んだ短編みたいな随想みたいなのが記憶の壁にこびりついて離れない。

ある日、男の子が交通事故で病院に運ばれてきた。
お医者さんは男の子に「今日は何曜日ですか」と質問した。
男の子は「…わからない」と答え、少し考えてから
「いつもわからない」と答え直した。
退院のとき、お医者さんは男の子に
「曜日は、覚えておくと便利だよ。」
と言った。

というような内容のもの。いつ、どこで、誰の作品として読んだのかまったく覚えていない。