こちら側の常識とそちら側の常識と

owl2005-10-27

アンモナイトをもらった。小粒だし産地年代ともに不明なので標本的価値は全くないが、いい表情をしている(特に小さいほう)。そこで例によってクリーニングを施す。
一般語(日常語)で「クリーニング」というと「洗濯」あるいは「洗浄」のことだが、化石標本のクリーニングとは、表面に付着している岩石や砂泥などを除去して、その標本本来の姿を出させることをいう。従って、水とたわしでできるクリーニングもあるが、大抵は鋭利なものを使用して慎重に削っていく作業になる。クリーニング屋さんのクリーニングを想像するとおよそ的外れな話になる。だから「クリーニングしてみたよ」といっても、普通の人にはその意味が通じないことが多い。「ああ、洗ったのね(…ってなんでこいつ化石を洗ったりすんの?)」なんていう返答が関の山。さらに、クリーニングの意味が判っていたとしても、アンモナイトなどの場合、クリーニングしたことによってどこがどう変わったのかなど、普通はわからない、というか、気付かない。
化石を扱う人間は、この「わからない」ということを前提に話をするべきなのかもしれない。