ネット既成事実

ことばの語源とか由来などといったものを調べるのには、Web は便利なツールである。特に、最早語源のわからなくなりかかっているような、諸説紛々なことばについては有用で、その話題について触れているいくつかの記述を比較して眺めることによって、曖昧な全体像が掴めてくることがある。
ただし、気をつけなくてはいけない部分もある。
一般受けしやすい、「へぇ」といいたくなるような、catchy な見解は、再引用されやすい。そして、語源や由来に関して記しているサイトやブログは、その引用元を記さないのが普通である。というか、記せないのが現実である。そうこうしているうちに、有名どころがその件について触れたり、そこから再々々…引用が起こり、ネット上はその見解で占領される。その見解がニュートラルにみて「正しい」といえるのか「ちょっと待て」となるのかは、ここでは無関係。一旦広まってしまえば、それは最早「事実」として扱われる。
誰もそれが多数決であるとは意識していない、悪質な多数決がいつの間にか成立している。
まあそもそも、ことばの語源とか由来なんてものはあんまり重要なものではなく、大事なのはそのことばによって正しく概念を共有できることであるから、語源とは「ムダ知識」=「trivia」の最たるものである。その内容がおもしろおかしく、知的好奇心を適度に刺激するようなものであるなら、いっこうに構わないという言い方もできる。…でもね。

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「ハネムーン」(honeymoon)の語源とか見てみる。もうなんかいくつかの見解で定着しているようで、しかもその根幹は「新郎が結婚後 30日間ハチミツ酒を飲み続けるという儀式」というところに集約される。
ほんとうかいな。
honeymoon って、半月*1じゃなかったっけ。
で、full moon が、満月って話じゃなかったっけ。…違うの?
因みに昨日が半月(上弦)でした。

*1:半月には「過去と未来の境を映す鏡」という意味があるとかなんとか。