つーか、なんなんだよこの記事

私たんニュース(2005/07/31)より。記しているのは田幸和歌子という人物。記者だろうか。*1
さて、7月産まれが多い、というこの記事。

それにしても、75年→80年までにいったい日本に何があって、こんな変化が訪れたんでしょうか?
誰か教えて!!
と締めているが、なんのことはない、12月結婚が増えているからというそれだけの話ではないのか。出産数だけ調べて燃え尽きているようじゃ甘いとのそしりを受けても反論はできまい。検証できてない。ついでに言っておくと、この記事だけでは傍証が全くないので帰結にどの程度正当性が見いだせるのか言うことができない(有意か否か言うことができない)。つまり検証性がない。
もうひとつ言いたいことがある。
数字を羅列するな。グラフにするか、せめて表にしろ。プレゼンの基本ではないのか。小学校で何を教わってきたのだ。小学校から授業を聴いてなかったのか。田幸という人物はアレか。アレなのか。でもって、こんな文章で喰えるほどライター稼業ってそんなに甘いものだったのか。

■ 反証

「憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向日記」さんのところの 2003年11月13日付アート*2に拠れば、ピークは 7月には無い。どういうことだろうか?

■ 反証2 (2005/11/23 しるす)

いまだにトラックバックリストなどを辿って当研究所(跡)にアクセスがあるようなので、再検証してみた(元データ:人口動態調査)。 グラフは MS Excel 97 にて作成してみた(27KB ぐらい)。操作方法は簡単だと思うので特に説明はしない。
グラフを描いてみるとわかるのだが、とりたてて夏が増えたわけではない。月ごとの差が無くなっただけだ。
 → 
データは、月別 1日当たり出生人数。 月々の日数が異なるのであるから補正は加えなくてはならない。
こうしてみると月ごとの(平均値からの)差はプラスマイナス数%の範囲内に収まる。つまり、日数にしてせいぜい 2日分多いか、少ないか。これを 1950年の「プラス 29%、マイナス 14%」というデータと単純に比較して「夏が/冬が」と議論すること自体に無理がある。
 
このグラフで見ればわかるとおり、1975年と 1980年の間には何も起こっていない。「誰か教えて!」と茶目ぶって言われても、何も起こっていないのだから教えようがないというのが現実であった。というより「私の実感は、だいたい合ってた。なんかスゴイ。」と仰る田幸某氏、よく数%の差を「実感」できたものだ。超能力者か。
数字の読み方を意図的に操作すれば、誤った結論をいくらでも導けるというのが統計である。勿論、考察者の知恵が足りない場合も同様のことが起こりうる。しかし、そんなことはとっくにわかっていたことだし、(私(おうる)も含めて)気をつけようね、思慮深くあるべく努力しようね、ということだけである。どうでもよい。何が腹立つって、こんなくだらない記事で日銭を稼ぎ、ごはんを食べている人間がいるという事実である。
ただ、むかつく。

■ 反証3 (2005/11/26 記す)

では、実際「何が起こったのか」。これについて示唆をもたらす記事。

この調査を引用するまでもなく、その変化は戦後ベビーブーム時期から連続的に起こったことであり、わずか 5年で「転換」したわけではないというのは誰の目にも明らかである。なんというか、中学生ぐらいの自由研究課題としては最適なレベルの話題であった。
で、データを流用させていただいてこんなようなグラフをちゃちゃっと仕上げてみる。
 

その他にも、標記 Excite Bit 記事のトラックバックリストを手繰ればこの記事の再検証記事をいくつか見つけることができる。私(おうる)如きがごちゃごちゃ言うまでもなく、ちょっと真面目に調べれば同じ結論に至るということのようだ。

*1:フリーのライターだそうだ。→ http://media.excite.co.jp/News/bitwriter/

*2:現在(地震によるクラッシュからデータ復旧中とのことで、リンクは張れない状態。待避先で読むことはできる。→ http://deztec.jp/x/05/07/simple/pd200311.html