私(おうる)にとっては悲しいのだけど普通の人なら引きまくるお話

というか、たいていの人(特に女性)は「無理。」だと思う。

ええと。クモの幼体を発見して。精査はしていないが、ササグモの幼体だろう。勿論生きている。最初は、アシダカグモの幼体かと思った。そのくらい活発に動き回っている。発見したのも普通にビルの中だったし。触肢が発達していうるから、雄で間違いない。
不用意に踏んでしまうのも嫌なので、ある程度逃げるに任せた。なにしろアシダカグモだと思っているから、ここが本来の生息地だと信じて疑わなかったわけである。そうこうしているうちにまた出てきた。不用意な。ほんとうに踏んでしまうではないか。ちょっと心配になってきた。
そんな心配をよそに、全長数mm の彼はそそくさとどこかへ行った。
次に彼と出会ったのは、残念なことに、私のコーヒーカップの中だった。…いや、正直に言おう、私の口の中だ。飲み差しのコーヒーの中で、彼は敢えなく最期を遂げたのだった。一瞬、大きな綿ぼこりが入っていたのかと思った。すんでのところで、私(おうる)は子グモを腹に収めるところだった。
口から出し、水道水とエタノールで洗浄し、そのまま小瓶で液浸とする。私の嫌な予感は、全く別のかたちで露わになった。悲しい出会いと別れであった。彼の亡骸は、今後余程のことでもない限り、私(おうる)のもとで半永久に保存される予定。
こんな話、リアルの知人にはできない。というか、できなかった。
こんな私でよければ。ってそれは現実的にはほぼ全否定となる。