あのね、一応プロでしたから。

昆虫採集で日々の糧を得た経験のある人間などそう多くはあるまい。
胸を張って言えるほど大したこともなかったし、所詮は付け焼き刃でホンモノのプロを自認する方々には馬鹿にされ続けていたのであんまり言わないのだが、ま、ほんっのちょっとだけど同定作業をしたこともあるし、現地同定もかなりやったし、突如他のカテゴリの生物が出てもそれなりに精度の高い対応をしていたつもりだし(ぶっちゃけ動物類全般を最低限とはいえアベレージでカバーしていたわけだし)、専門の学部学生あたりがアルバイトかなんかでするよりはそれなりにレベルの高い仕事をしていたはずだよ*1。 
とりわけ、調査手法や用具についての研究を怠らずにいたし、見つけ捕りのテクニックや目視確認の素早さなど真似しようにもおいそれとはできない部分も持っていたから「独自技術」と呼べる手前のところあたりまでは到達していたと思うのだけど。それはおごりでもなんでもなく、自負。
だったらなぜやめた、という話なわけだが、いま思えば自分でも理由がわからない。そんなちゃらんぽらんっぷりな手前、いま現在の不遇もいわば身から出た錆と甘受しなければならないというのも、まあ一理二理。
おまけに、植物については全く手をつけなかったし、つけようともしなかった。そういうおざなりで怠けた態度で生物と向き合おうというのがそもそも失格なんじゃないか(だったんじゃないか)、という気もする。

*1:それじゃ駄目なんだよと言われれば、それまでなんだけどね。