ついでにもうひとつ呪われたかのような、という方向性の話。

帰宅してふと気付くと、ジャケットの背中に真っ黒な、雰囲気的にはちょうどコールタールのような汚れがべっとりと付いているのに気付き愕然。しばしのちにこの大胆な汚れの正体がガムのなれの果てであることが判明し、それは同時にジャケットの廃棄処分確定を意味するわけであるが、何をどうすればかくの如く、背中の広範囲に真っ黒に汚れたガムが付着しうるのか、しかもここまで擦り込まれなくてはならななかったのか、なおかつそこまでの事態が背中で起きていて何故全く気付かなかったのか、を解いておかなくてはならない。考えるだけで憂鬱になりそうだったが、憶測で決着をみるのはなんらかの「陰謀説」を否定しきれないと言うスタンスを残すことに繋がり精神衛生上ますますよろしくないと判断されたので萎えつつ、萎えつつも探偵ばりの推理を敢行する。少々の思考ののちに「それ」は降りてきて、「それ」が正しいのか否か、検証する唯一にして最大の術も直後に導かれた。即ち、背負っていたカバン(リュック)の底を確認すること。而してあっさりと仮説は立証され、同時にカバンも廃棄処分決定。つまりこういうことだ、駅かどこかでカバンを置いたときにガムが付着し、その後背負って歩いた際にそのガムがジャケットの背中に念入りに擦り込まれてしまったということであったのだ。「陰謀説」はここにおいて全面否定された。カバンのほうはそれなりに安物だったのでジャケットほどのショックは無いとはいえ、なんともはや、返す刀でもいちど斬られた気色。
このぶつけどころのない不愉快な気分は、汚染物件を処分するぐらいでは完全には払拭できそうにない。