隙間の城



午後のカラス(ハシブトガラス)は電信柱の上から人を見下ろし、気紛れにそれとなくアピールしてみて反応を楽しむ。カラスは知能が高いので、「遊ぶ」ということ(生命維持に関係ない動作や運動を通じて喜びを得る行為)を知っている。
眼下を歩いている人間が何をしても「ほぼ」安全だとわかっているので、多少のことでは動じない。以前は「石を投げるフリをしても反応しないが、石を拾うフリをしてから投げるフリをすると逃げる」といわれていた(私(おうる)も実際にそういう反応をするカラスを何度か見てきた)が、最近はそれすらフェイクだと見抜く奴が多いように見受ける。
しかし、カメラを構えるとまず逃げる。どのへんを基準に見分けているのかは杳として知れないが、彼等にとって「ロックオンされる」ことはカメラだろうとエアガンだろうと変わらぬ同等の恐怖なのだろう。構えるその瞬間をこの上なく正確、且つ過敏に捉えて飛び去る。(註:私(おうる)はエアガンで試したことがあるわけではない。)
これも、将来的にはわからない。カメラの場合は向けられても何も飛んでこないと理解するのに、数10年とはかかりはしないだろう。そのうち、カメラを構えるとポーズを取るカラスが出てくるのかもしれない。
それはそれでにくたらしいけど。