「納豆」と「豆腐」
字面からして、逆だろ、という(飲み屋などで既に何万回語られたかわからない)話。
…とりあえず投げっぱなしジャーマンで。(おい糸引いてるよ!)
…とまぁこのままだとあまりに「投げっぱなし」過ぎるのでいそいそと拾いに行く(おぃまだ糸引(以下略))。
納豆は戦の際に食糧として上納された煮豆がそもそものルーツだとの話があるし、豆腐にしても原型が(ふなずし・くさやとともに「日本三大珍味」ともいわれる)「とうふよう」のような発酵食品だったとすれば「腐」の字が使用されているのも不思議ではない。
ともあれ、「納豆」「豆腐」いずれがいずれにせよ「腐」の字がその名称に入っているのは食材としてイカガナモノカ、といったところだろうか。(ゆえに「豆腐」に関してはあえてヒラガナを用いる店が多いほか、「豆富」の字をあてるケースもある。「縁起が悪い」などのちょっとしたことを理由にものの名称が変わることもそう稀有なことではないようだ。今後変遷してゆく可能性もある。)
追記。【2005/02/25】
「腐」という字のそもそもの意味には「ぶよぶよしたもの」というニュアンスも含まれているそうだから、「豆からできた柔らかい食品」である「豆腐」は字面的にも別段おかしくないようだ。
「納」という字には、古くは「糸を引くもの」という意味があったそうで、「糸を引く豆」である「納豆」は字面的にもこれといい矛盾しないらしい。
さらに追記。【2006/03/10】
2006/03/09 放送の「トリビアの泉」において「ガセビア」として紹介されていた。以下その概略。
- 和洋女子大学 日本文学科 岩下裕一教授による解説。
- 「豆腐」「納豆」は現在の漢字でどちらも正しい。
- 『〜豆腐の<腐>はくさるの意味ではなく、(〜)固体であって弾力のあるものをいう。〜』(by「世界大百科事典」)
- 『〜僧家*1の台所を納所*2という (〜)この豆が僧家の納所で造られるのでこう*3名付ける』(by「本朝食鑑」(江戸時代の食文化をまとめた書物)) …つまり納豆とは「納所の豆」の意味。
要するに諸説あるが、間違いではない(取り違えた/入れ替わったわけではない)というのは、間違いないようだ。